The RNA Society of Japan

青葉賞から海外へ(学会参加報告及び留学報告)

Written by 趙 雪薇(Tufts大学)

 昨年のRNA学会参加時は東京大学工学系研究科鈴木研究室に所属していました、趙雪薇です。現在はアメリカのボストンにあるTufts大学にてエキソソームや合成ナノ粒子を使ったドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究を行っています。昨年のRNA学会にてありがたく青葉賞をいただき、今年の5月にオランダのロッテルダムにて開催されたInternational Society for Extracellular Vesicles (ISEV)年会に参加して来ましたのでご報告させていただきます。

 ISEVは今年で5年目の比較的新しい学会で、病気の診断マーカー、臓器再生、免疫応答やDDSなど様々な分野で活躍するエキソソーム、及びその他の分泌小胞に関する研究成果を交換する場となっています。まだこの分野には新入りの私にとっては、分泌小胞がこんなにも多くの活躍をしていること自体が刺激的で、非常に勉強になりました。この学会にて私はポスター発表をさせていただきました。そもそも研究を始めたばかりで目立った成果もあまりなく、知り合いも全くいない状況でも、次から次へとポスターを見に来ては質問をしてくれる人がいることが非常にありがたかったです。研究のアドバイスをしてもらうこともあり、自分の研究の方向性を見直したり、新たなアイディアを生み出す刺激になったりもしました。それと同時に周りの人たちの研究への情熱と、ネットワーキングへの熱意を肌で感じた瞬間でした。アメリカで勉強していて、中国系の名前で、日本風の出で立ちをしてそわそわしている私に声をかけてくれたナイジェリア出身の女の子(スウェーデンで留学中)と少し仲良くなれたのが良い思い出です。またこの学会では多くの人がワインを片手にポスターを見学していたのも新鮮な驚きでした。

 さて、学会が開かれた街ロッテルダムは首都アムステルダムに次ぐオランダ第二の大都会です。といってもアムステルダムからは電車で30分ほどの距離で、芸術的な建物に囲まれた小規模な近代都市でした。街は整然としていて、どこか日本に似た几帳面さを感じたことを覚えています。オランダは水路が非常に発達していて、15分間隔で運航するボートを利用して観光名所を巡ったのが印象的でした。「オランダと言えば」で思いつくものといえばチューリップと風車くらいしかなかった私ですが、実際に行ってみて印象的だったのはやっぱりチューリップと風車、それにコロッケでした。このコロッケがまたオランダ名物のようで、学会でも軽食として頻繁に提供されていました。オランダに行く機会がある方はコロッケを召し上がることを心からお薦めします。

 私がオランダに到着した日(5月4日)はちょうど第二次世界大戦でドイツが降伏した日だったようで、オランダはこの日を追悼の日として全国民が黙祷を捧げることになっているようです。その日、ホテル近くのカフェで夕食を食べていた私は店員さんから「8時になったら1分間喋っちゃダメだよ。」と言われ、何のことやらと思いながら待っていたら、8時ぴったりに賑やかだったカフェ内はそれまでの喧騒が嘘のように静かになりました。もともと、ヨーロッパ諸国の中でもオランダは今までの私にはあまり馴染みがない国でした。このような機会がなければ一生知ることがなかったことがたくさんあったかもしれません。今回の学会を通して大変貴重な経験をさせていただきました。このような素晴らしい機会をいただき、心からお礼申し上げます。

ボストンでの生活

 昨年の夏に渡米し、早くものでもう直ぐ一年が経ちます。今年の秋でPhD課程2年目になりますが、アメリカのPhD課程は修士と博士がセットになっているので、卒業までに5年間かかることが想定されています。入学してから始めの半年は主に授業や宿題に追われていました。アメリカの大学院1年目はとにかく授業や宿題が多いのが印象的で、特に授業では積極的に質問することが評価対象になっていたり、毎週のように宿題や小テストが課されたりすることで、常に緊張感を維持することができたと思います。もちろん困難なことも多く、日本で培ってきた英語に対する自信は、コミュニケーションの単なる道具と化すことで打ち砕かれました。自己主張に長けたアメリカ人の中では存在感を示すことすら難しく、英語の聞き取りでいっぱいいっぱいの状況で悔しい思いをすることも多々ありました。そんな中でもTeaching assistantなどの充実したサポート制度に支えられながら、乗り越えることができたように思います。レポートの添削では段落ごとに論点を要約したり(この段落は何が言いたいの?とストレートに聞かれるのは意外と困るものでした)、論文の輪読では褒めるのではなくひたすら欠点を探しまくったりすることで(論文を理解するというより、その上で自分ならこうするという主張が求められているように思います)、今までにない考え方を学ぶことができました。

 私の所属する研究室では飲み会などのイベントはあまり行われませんが、学科全体で年に数回行われるBBQが恒例行事となっています。ここでは研究発表やポスターセッションが行われ、大自然の中での研究交流会となっています。また、週に一度は外部から講師を招いたセミナーが行われたり、他の大学のセミナーも自由に聴きに行けたりするので、非常に広範囲に渡って研究者どうしの交流ができるように感じています。もちろん、BBQのお肉やセミナーに出てくるピザやドーナツも人を集めるのに絶大な効果を発揮しているとは思います。日本人も研究で来る人が多く、日本人研究者交流会なるものまで存在しています。この学問の街ボストンの良い環境を利用しながら、私自身も成長していけるように今後とも頑張りたいです。


写真1: ポスター発表の様子


写真2: 風車の街


写真3: オランダ料理

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