The RNA Society of Japan

石 その1

Written by 塩見 春彦

ふと目と目が合ったような気がする。なんだか気になる。少し迷うが手を伸ばし、拾い上げる。しっかりした重みや少しの湿りが感じられる。じっと見つめる。 私を見つめていた目を探す。それから、その重さと手触りを感じながら歩き出す。 なんだかよさそうだ。持ち帰る。

これが私と石の出会いです。私はとても目が悪い。眼鏡をかけても視力は 0.8 に届かない。それでも、時々見つめてしまう。集めた石に色やカタチや大きさの共通点はない。鋭利なもの、丸いもの、平たいもの、いろいろある。探しても目が見つからないことが多い。その場合は、おそらく、全体が目なのかもしれない。

私の部屋にはこうして拾ってきた石が何十と居る。もはや彼らの視線を感じることはない。時々持ち上げてみる。今まで気付かなかった小さな目が見えて来る。顔も浮かんで 来る。私と石の付き合いはそれだけです。写真の石は伊豆の谷川の河原で拾ってきたものです。無数にある河原の石の中で目が合ったもの。

(2014年5月)


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